フランスのゲーム会社ユービーアイ(UBI)ソフトが11月に発売予定のアクションアドベンチャー『アサシン クリード シャドウズ』がもっかSNS等で炎上中です。国会議員が文科省に質問をした、オンライン署名サイトに数万人が賛同した……というニュースは、「どの党に属してる議員が取り上げたのか」や「ワンクリック=1人にカウントする数字にどれほど重みがあるのか」を加味すれば、考慮に値するかどうかは賛否が分かれそうです。ともあれ、UBIが公式に「日本の皆さまにご懸念を生じさせたこと」につきお詫びを表明しているのは事実です。少なくとも、放置していい状況は過ぎ去ったということでしょう。炎上の焦点となっているのは、プレイアブルな主人公が2人いるうち、1人を織田信長に仕えた黒人の弥助にしたことです。UBIはシリーズ初の試みとして「実在した人物を主人公にする」と強調しており、たまたま些細なディティールが悪目立ちしたわけではなく、わざわざ「論点」にした形となっています。まず火元となったのは、他のシリーズでは世界各地で舞台を変えながらも現地の人を主人公にしてきたのに、日本だけ例外としたことでしょう。もう1人の主人公・奈緒江は伊賀者にして忍(アサシン)であり現地産のため、半分だけイレギュラーにしたといったところです。より大きく燃え広がったのは、弥助を「歴史に名を遺す屈強なアフリカ人の侍」という風に、複数のメディアで何度も「侍」であることが史実だと強調しちゃったことです。この点は、『どうする家康』で時代考証をされていた平山優先生の「信長に仕える「侍」身分であったことは間違いなかろう」に尽きるでしょう。いかに資料が乏しくとも、扶持も太刀も屋敷も与えられていたことは確実であり、「身分」が侍だったのを疑うのは無理があります。
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